こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。ついにやってしまいました。ソニーの開発者に「これをGレンズと言わずして、なにをGレンズと言うか」と言わしめた伝説のGレンズ、SAL70300Gを購入してしまいました。
君さあ、望遠レンズって結構持ってたよね?というご指摘はごもっとも。紹介しただけでも2本の望遠レンズを持っています。
じゃあなんで買ったの?と言われると答えは簡単。安く手に入ったから。送料込みで約5000円です。中古相場が約3万円ということを考えるとめちゃくちゃ安く購入しています。
ふーん、きっとレンズのどこか抜き取られてるよそれ。そう思うじゃないですか。光学系はばっちりでした。光学系はね。
という訳で、このレンズの味を楽しんでいきましょう。
目次
小さいようで大きい、そんなレンズ
以前紹介したMINOLTA 100-300/4.5-5.6 APOと並べてみました。こうしてみるとやはりSONYの70-300Gのほうが一回り大きく、そして長いですね。MINOLTA 100-300がフィルター径55mmに対して、SONY 70-300Gがフィルター径62mmですから、間違いなく大きいです。
どちらもテレ端まで伸ばすとこんな感じ。100-300に比べてより大きさが目立ちます。そしてフォーカスリングは手前側。Aマウントレンズの多くがレンズ先端側にフォーカスリングがあることを考えると、このレンズは異端とも言えます。
側面にはGレンズのバッジに、フォーカスレンジリミッターがあります。SSM搭載レンズなので、LA-EA5を介してα7Rで使うと一応AFは動くはずですから、動作すれば大いに役立つでしょう。
そしてこのレンズには驚くほど大きな花形フードが付いています。これは傍から見れば迫力満点のレンズ。望遠レンズを持って他人を威圧するにはちょうどいいサイズ感でしょう。そんな機会はないけど。
α7Rに装着するとこんな感じ。Aマウント機と比較してコンパクトなEマウント機ですから、なかなか迫力満点な見た目になります。三脚座こそ不要なものの、それでも片手で気軽に持てるレンズではないことは確かです。
今度は以前紹介したTokina AT-X 304と比較してみましょう。こうしてみるとAT-X 304がいかにコンパクトに作られているかが分かりますね。コンパクトではない分、画質には妥協しない、と開発者が何かの記事で語っていたのを思い出し、コンパクトが正義じゃないんだということを思い起こさせてくれます。
安く買えたのにはそれ相応の理由があった
という訳でレンズの外観を見るとかなり綺麗です。およそ相場の8割引きで買えたとは思えないレンズです。商品説明には「AF動作しません。ジャンクです」と書かれていました。
ははーん。検品時に古いミノルタ製Aマウントフィルムカメラでも使ったのかな?(改造機じゃないとAF動作しない)。仮にAFが動作しなくてもこの価格でMFレンズとして使えるなら買いだなと思って購入した訳です。
商品到着の2日後、手元にはK&F CONCEPT製、A-Eマウントアダプターが届いていました。
LA-EA5を介してα7Rに装着して電源を入れると、カメラがブラックアウトして動きません。うんともすんとも言いません。死んでいます。慌てて別のレンズに付け替えると普通に電源が入ります。もう一度試します。電源が入りません。
電源が入った状態でレンズを交換してみます。SAL70300Gと電気的につながった瞬間に電源が落ちます。
これは恐らくレンズ内部の基盤が死んでいますね。あるいはSSMモーターか。いずれにせよMFレンズとして使うという選択肢も消えました。仕方ないので電気接点のないマウントアダプターを買うか、とレンズよりも高価なアダプターを購入したのでした。
このマウントアダプター、なかなか質感悪くないですよ。EXIF情報とかいろいろ残らないというデメリットを除けば。
気を取り直して鳥さんを撮ります
例によって上野公園へ。ここは鳥獣保護区です。鳥さんをイジメるような真似はよろしくないです。
ちなみに今回の作例写真はすべてCapture Oneで現像しています。基本的にはレンズプロファイルを当てたうえで現像という感じですが。そしていつもの作例写真にあるようなシャッター速度、絞り値については記載しません。なぜなら絞り値なんて覚えていないというか正確な値が分からないから。
ピント面は驚くほどシャープ
社外品マウントアダプターに、電気的に死んだレンズを組み合わせて撮影している訳ですが、そんな事情を感じさせないほどのシャープさ。なんというか現代のレンズなんだなと改めて思わせてくれます。もっとも発売はもう10年以上前なのですが。
ほぼ等倍の97%表示をトリミングしたものです。微妙に目からピントが外れていますね。とはいえジャスピンの毛の部分の解像はMINOLTA 100-300APOよりも確実に良くなっています。また現像しているとはいえ、各収差も良好に補正されている印象です。
ただボケはちょっとぐるぐる傾向。たぶん開放で撮った写真ですが少し絞ってあげたほうがよさそうですね。
首を逆に向けてすぼめているカモの様子。ピント面がシャープなのに加えて前ボケがかなり綺麗に出ているように思います。背景が一様だとあまりこのボケも気になりませんね。
こちらも97%表示を拡大したもの。こちらもかなり解像がよいことが分かります。
恐らく開放と2絞りしたときの様子。開放だとぐるぐる傾向がありますが、絞ってあげるとボケもだいぶ良好になるといった印象です。
ただなんというか絞りを決めると開放でピント合わせが難しい構成になっているので、こういったシーンにおいて実用的かと言われると難しいものがあります。
これくらい背景をぼかすと、ぐるぐるも気にならなくなりますね。というかピントがバシッと決まった時の解像感は驚くものがあります。なるほど。これがGレンズか。
目よりも手前にピントが来てますね。鳩の毛ってこうなっていたのか。
望遠と言えば飛行機だよね
そういう安直な理由で羽田空港の第2ターミナルに向かいます。もう夕暮れ時ということで、シャッター速度を稼ぐため感度がどんどん上がっていきます。ちょっと飛行機撮影はリベンジしたいなと思うところです。
ANAのB787とB767。ちょっと感度が上がってきてディティールがつぶれてきていますね。とはいえ画面全体のシャープさは損なわれてないかなという印象です。
こちらに向かってくるANA機。バシッと決まるとかなりシャープな画を出してくるというのは野鳥撮影の時と同様のようですね。
UNITEDのB787と東京湾ゲートブリッジ。羽田の第2ターミナルで着陸機を狙うならこの構図が好きだったりしますが、もう夕暮れも夕暮れ。感度が上がり切って細かいディティールはつぶれ始めてしまっていますね。ちなみにISO2000です。α7シリーズの初代、それも高画素機のRとなるとちょっと厳しい領域かもしれませんね。
縦位置だとこんな感じ。どう切り取るかというのも難しいなあという感じです。ここはもう少し精進する必要がありそうですね。
B737のような小型機だと手前の高速脱出誘導路から流出してしまうので、撮影時の機種の見極めも大事になってくる構図でもあります。飛行機撮りも奥が深い。
広角側が70mmスタートというのも、今まで100-300を使っていた身からするとうれしいところです。70mmと100mmって結構大きく違いますからね。こういうゲートにいる機材もこのように全体的な写し方ができるのはありがたいところ。
テレ端300mmまで持ってくるとこんな感じ。MINOLTA 100-300APOでもテレ端はちょっと甘目かなあと思っていたのですがこちらはかなり良好。感度が上がっていますが、機体の細かいところまで写し切っています。
いいレンズだけに修理に出すか悩みどころ
今回はジャンク品で買ったSONY 70-300G/4.5-5.6を紹介しました。きっと偽ジャンクだろうと思っていたらしっかりジャンク品だったという悲しい経緯のレンズですが、それでも光学系がかなり綺麗だったのは救いでした。
これ、修理したらAF使えるんだよな……ちゃんと開放でMFできるんだよな……そう考えると修理に出してしまってもよいのではないか。そう思えてきてしまいます。技術料が約1.4万円、部品代で1万円としても中古相場を大きく超えることはありません。そのうえソニーの修理、調整済みというお墨付きまで得られる訳ですから、その辺の中古を買うよりはお得とすら言える訳です。
ただ、トータル3万円かあ。厳しいなあと思いながらとりあえずはK&Fのマウントアダプターを使って楽しんでいる次第です。
Eマウントでも同様のレンズがありますが、こちらは手振れ補正つき。恐らく自分で購入する機会はないでしょうがちょっと比較してみたいところではあります。もちろんその時にはSAL70300Gも万全な体制でね!