からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

Aマウントレンズで味わうα7Rの世界 ―― MINOLTA AF 100-300/4.5-5.6 APOの場合

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。ついに望遠沼に手を出し始めたか、という感じですね。ある意味正解で、ある意味で不正解です。このレンズは結構前から所有していて、しかもそのご先祖であるMINOLTA 100-300/4.5-5.6(APOなし)も以前から使っていました。

 100mmから300mmと望遠ながら比較的コンパクトな鏡筒、金文字のAPO TELE ZOOMの文字。ちょっとだけ高級感があります。焦点距離の刻みは100、135、200、300と、使うであろう領域が刻まれています。

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 結構お世話になっているこのレンズですが、α7Rで使うとどのような写りになるのでしょうか?

目次

比較的コンパクトな望遠ズーム

 先にお見せした画像の通り、コンパクトな望遠ズームです。当時のミノルタでは、75-300/4.5-5.6や80-200/2.8などの望遠ズームのラインナップがあったはずで、そのいずれも所有していませんが、お店などで見た感じはそのいずれよりもコンパクトという印象です。

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 フォーカスリング部にレンズ情報が記載されていて、ここにもAPO TELE ZOOMの文字が。フィルター径が55mmであるということからも、かなりコンパクトな望遠ズームであるとイメージいただけるのではないでしょうか。恐らくこれよりコンパクトな望遠ズームは100-200/4.5くらいかと思います。ジャンクを買い漁ったときに100-200/4.5も一緒についてきたのですが、こちらはまだ試せていません。

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 側面にはフォーカスホールドボタン。ただこのボタンを使う機会は、α7Rを使っている限り一生来ることはありません。Aマウントでも使った記憶がない、というのが正直なところ。

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 望遠端まで伸ばすとこんな感じ。悪くないサイズ感です。さすがに300mmまで伸ばすと大きいなあと思いますが、それでもこの程度に収まるのか、という印象でもあります。

 望遠ズームは大きくないと困る、という方はシグマのエビフライでもお買い求めくださいませ。たしかAマウント用もあったような気がしますね。ちなみに手持ちでこのレンズ使った撮影をするのは困難でしょう。万が一カメラだけ持った場合マウントがもげること間違いなし。 

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 α7RにLA-EA5を介して装着するとこんな感じ。SAL2470Zよりもコンパクトに収まります。重量も435gとSAL2470Zの約半分です。焦点距離は2倍以上。なんともコンパクトなシステムなんだろうと思うところです。

www.phd-karaage.com

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 望遠端まで伸ばすとこんな感じ。手持ちで行けるサイズ感です。ただα7Rには手振れ補正がありませんから、シャッター速度を上げてあげないと手振れ写真量産マシンと化してしまいます。

そもそもAPOってなに?

 レンズの色収差を抑えるために、特殊レンズを使った証ということのようです。詳細な説明は他のサイトにお任せしましょう。

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 このレンズを入手する以前に使用していた、MINOLTA 100-300/4.5-5.6は結構色収差が出るなあと思わせるレンズであったことは確かです。それでも望遠にするとボケる、それらしい写真が撮れると喜んで使っていたものです。

 そのレンズがAPOレンズを採用して色収差を抑えたということでなかなかいい写りが期待されます。ちなみに販売当時のお値段は7万円。恐らく75-300/4.5-5.6が廉価望遠ズームという扱いを受けていたでしょうから、その中では松竹梅の竹レンズという感じでしょうか。この金文字は販売当時、ミノルタの自信の表れなのでしょう。

鳥さんを撮り歩く

 望遠レンズを持って撮影するとなると、思いつくのは野鳥、鉄道、飛行機、月、その辺りでしょうか。そのうち今回は野鳥と飛行機を撮影してきました。単に手頃に撮影できるからというのが大きな理由ではありますが。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO 400, 1/800, F5.6

 望遠端開放でこの写りです。結構いい解像していると思いません?ちょっと背景がぐるっとするというか、うるさいなあと思わせる写りですが、この辺りはちょっと絞ってあげればいいのでしょう。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO 400, 1/800, F5.6

 別の鳥さん。ちょっと前の葉っぱが邪魔ですね。

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 それぞれピント面を見てみましょう。毛の1本1本がちゃんと解像しているなあと実感することができます。α7RⅣのようなさらなる高画素機でここまで解像するかは謎。

 頭の毛を見ると良好に色収差が補正されているレンズとはいえちょっと赤みかかって見えます。これくらいならRAW現像の時にうまいこと補正できるのかもしれません。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO 400, 1/800, F5.6

 またまた別の鳥さん。現代的なシャープさとは異なりますが、それでもかなりよく写っているように思います。白色との境界線を見るとちょっと緑色が出ているかなあ、そんな感じがします。ただ、感度が上がっていますからそのノイズとも言い切れないのが難しいところ。

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 ほぼ等倍で見ちゃうとうーん、という感じではあります。等倍で見る必要がどこにあるか、という話にはなってしまうのですが。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/800, F5.6

 今度は眠そうな鳥さん。寒いのでしょうか。首をすぼめています。こちらは200mmでの作例。300mmと比べるとシャープさが増したかな?という気がします。

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 望遠端まで行かないと収差も良好に補正されているように思えます。もちろん現代のレンズには敵わないでしょうが。こうして拡大すると絶妙に目からピンを外してしまっているのが分かりますね。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO1000 , 1/800, F8

 こちらはF8、300mmの作例。ボケ感がすこし落ち着いたようにも思えます。色味はああ、これはミノルタの色味だよねえと思わせるものがあります。ボケも良好な気がします。

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 感度が上がった分細かいディティールがつぶれてしまってるかなあという気がしますが、開放で現れていた色収差もだいぶ落ち着いたのではないかと思います。ちょっとピントが微妙ですねえ。

空港で飛行機を撮る

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/1250, F11

 ところ変わって羽田空港の第1ターミナル。スポットインするA350の写真です。100mmでF11まで絞ると結構シャープだなと思うところです。

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 ただ等倍で見るともう少しシャープでもいいのかなあとは思います。機体ロゴがもう少しシャープだと嬉しいところ。しかしながらディティールを失っているとかそういったことはないので、十分使えるレンズではあると思います。それに加えてちょっと暑い日だったこともあり、陽炎でメラってる影響もあるかもしれません。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/1000, F11

 トーイングされるB737-800と、プッシュバック中のA350。300mmですがF11まで絞ることであからさまなコントラスト低下は見られないですね。

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 こちらのピント面は結構シャープに写っているかな?MFだと無限遠付近のピント合わせがどうしても難しいところです。

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 B737のほうはどうかと見てみると、こちらは完全に陽炎でメラってますね。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/1000, F11

 出発していくB767ですね。こちらはあまり陽炎の影響を受けずに撮影できました。絞っていることもあり結構シャープな印象です。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/800, F11

 離陸していくANAのB767-300。色もしっかり出ているし、申し分ないようにも思えます。この手の写真を現代のレンズで撮るとどんな感じに写るのか、というのも気になるところです。

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 等倍で見ると陽炎の影響もあるでしょうが、STAR ALLIANCEの文字は完全につぶれてしまっていますね。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA 100-300/4.5-5.6APO ISO400 , 1/1250, F11

 完全に飛びきっても300mmならまだまだ追えます。ちょっと暑くないタイミングで再挑戦したいところですね。

今買うなら望遠入門に

 ミノルタ時代の望遠竹レンズ、MINOLTA AF 100-300/4.5-5.6 APOでした。望遠にトライしてみたいという人にはいいレンズのように思います。もちろん100-300mmということで広角側に不満を持つ場合もあるでしょうが、その時はSONY版の70-300/4.5-5.6Gレンズを買うしかありません。恐らくこのレンズを開発するためにSONYはこのレンズをミノルタから継承しなかったのではないでしょうか。 

 そういう意味でお金を掛けずに、といっても中古で4千円から1万円ほどしますが望遠レンズを持っていない、という人が望遠にトライするいいレンズのような気がします。

 ただEマウントで使うにあたって結局マウントアダプターが必要だったり、LA-EA5では一部機種しかAFが動かない、仮に動いてもAF速度が遅いとEマウントレンズには敵わない部分も多い訳です。

 格安で手に入り、さらにマウントアダプターを持っているという人なら、あるいはAマウント機を使っているという人ならば使ってみる価値はあるレンズのように思います。

 軽量な望遠ズームというのはあるようでなかなかない存在であることは確かなので、そういう意味でも持っておくと便利かもしれませんね。