からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

Aマウントレンズで味わうα7Rの世界 ―― MINOLTA AF 24-50/4 New の場合

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。どうぞゴミ漁りの達人とお呼びください。いえ、それはさすがに嘘です。

 なんでそんな話になるかと言えばこのレンズの入手方法に由来する訳です。あ、別にゴミ箱を漁ったとか、そういう話ではないですよ。

 ヤフオクで「ジャンク、ミノルタレンズ、6本セット(7本だったかな?)」が格安で売られていたのです。送料含めても1本300円くらい。バラシて遊ぶおもちゃにいいかなと思って落札した訳ですが、意外にモノの程度がよかったんですよね。ゴミを買ったと思ったら普通にすべて使えるレンズばっかり(1本だけ中玉にクモリありレンズがあったけどそれくらい)。

 そういう意味でゴミとされるか怪しいレンズを手に入れたわけで、ちょっといろいろ試してみました。今回はそういうご報告です。

外観はそんなに良くない(中古品として)

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 こちらが今回紹介するAF 24-50/4のズームレンズ。ズームリングやピントリングの形からNew型と推察されますね。形も特に特徴的かと言われるとそんなことはなく、ああ、ミノルタのズームレンズだよね、という見た目です。というかこの時代から24mmスタートのズームレンズがあったというのは正直意外です。24mmってこの当時は結構な広角として扱われていたのではないかなという気がするので。 

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 ズームをするとズーム全長が変化するタイプ。まあオーソドックスなレンズではあります。最長が24mm、最短が35mm、50mmでまたちょっと伸びる、そんな感じのレンズです。

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 α7Rに装着するとこんな感じ。結構コンパクトに見えるけど、LA-EA5を含めて考えると、Vario-Tessar T* 24-70/4とサイズ感はそんなに変わらないのかなあと思ったり。重量が285gと、F4通しのレンズとしては結構軽いんじゃないかなあという気がします。もちろん、広角端が24mmなぶん、望遠端が50mmとある種盛大な犠牲を払っていますが、広角~標準域をカバーするレンズとしてはよいのではないでしょうか?

 よくよくスペックを見ると、Vario-Tessar T* 24-70/4が426gとなっており、こちらの構成が少し軽いようです。

 しかしなんというかなんでズームリングやピントリングがここまで汚れるんでしょう。レンズ内は綺麗でカビもルンルンしておらずクモリもなく、ということで実稼働させてみました。

特徴的な作例。これは難しいレンズだぞ。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA AF24-50/4 ISO100, 1/1250, F:4, 50mm

 この写真を液晶で見たとき、あー、このレンズをどうコントロールしてやればいいんだろう、と頭を抱えました。いいレンズなのは間違いないのです。ピント位置を拡大してみましょう。

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 ほぼ等倍、105%の表示です。毛の一本一本まで解像しててこのレンズはやるなあ、と思う訳です。一方で背景のボケを見てみましょう。これはかなり2線ボケ傾向が強いです。ふんわりというよりはもううるさいぞ、というレベルです。

 このレンズ、最短撮影距離が0.35mと割と寄れるレンズです。しかしボケを生かした写真を撮るには考えることが多いな……。そう思ったのです。

逆光には割と強いかもしれない。

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 縦横が違う写真を並べてちょっとセンスがないですが、いかがでしょう。逆光下でフレア、ゴーストは出ていますが、顕著にコントラストが下がったりということがないんですよね。左の不忍池の写真はF8、右のお地蔵さんの写真はF4(開放)ということで、開放だと厳しいけど、絞ると結構持ちこたえてくれる、そんな印象を持ちます。遠景の解像感も悪くはないのではないでしょうか?

お散歩レンズにはちょうどいい

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 ふらっと何かを撮りたいとき、そんな時にこのレンズと共にお出かけするとじゃじゃ馬を乗りこなしつつ、撮りたいものがだいたい撮れる。そんな印象のレンズです。ただ現代においてはこのレンズの代替となるような軽量、小型なレンズがたくさん出揃っている、ということを考えると果たして見かけたら買わなきゃいけない、というレンズかと言われると微妙な気がします。

 Aマウントで使ったら最高だろうな、と思いつつもAマウント機は重い、大きいというデメリットがある訳で、このレンズをわざわざ活躍させるかと言われると難しいところではあります。

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α7R+LA-EA5+MINOLTA AF24-50/4 ISO100, 1/800, F:5.6 35mm

 絞ってボケをコントロールしつつ撮影してあげると、結構びっくりするくらいいい画を写してくれるんですよね。PLフィルターも使わずに空の青がここまで出るのは正直驚きではあります。

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 ただその一方で、もう少し長いレンズが欲しいよ。となるのもまた事実。あと20mm、あと50mm、そういう要望を受けて現代のレンズが開発されてきたのでしょう。その最たるものとして24-105Gレンズなのかなという気がします。 

 軽量コンパクトとは言わないにせよ、この一本でほぼなんでも対応できる、その強みは確実にあるでしょう。

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 この時代のズームレンズにしてこれくらい解像してくれるのもすごいなあと思うところです(F5.6)。ただEマウントレンズは1億画素を基準に、なんて話がされているくらいですから、そんなカメラが出てくるようになれば、さすがにもうお役御免となるのかもしれません。

ズーム比はこんな感じ

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 いつもの、と言われそうですが今回も横断禁止を撮影していました。かわいそうに。道を横断したばかりにこちらの紳士は頭をぶち抜かれてしまっています。左が50mm、右が24mmとなっていて、約2倍ズームですね。

お遊びで安く買えるならお試しする価値はあるかもしれない

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α7R+LA-EA5+MINOLTA AF24-50/4 ISO100, 1/320, F:4, 50mm

 今回紹介したこのレンズ、300円くらいだから買ってみた。というところでしょうか。これが5000円だったらきっと買わなかったでしょう。僕にはこの焦点域をカバーするレンズが他にもあるし。

 面白がって試してみるのはいいかもしれないけれど、Eマウントはじめ、Aマウントユーザ以外がわざわざ発掘してきて買うべきレンズか、と言われるとちょっと自信がない。もしこのレンズでAFが動いたらちょっと評価が変わるのかな、と思いつつも軽量、小型でスナップにちょうどいい焦点域。画質だって悪くないレンズだけど、現代にはもっといいレンズがたくさんあるしな……と思って、これ以上作例を用意するのもなと結局この日1日以外は使わず、家で眠っていただいている。

 Aマウントユーザが軽量ズームで広角から標準をカバーしてるやつ欲しい、というならこのレンズを使ってみるのは面白いかもしれないですね。