からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

Aマウントレンズで味わうα7Rの世界 ―― SONY Sonnar T* 135mm F:1.8 ZA (SAL135F18Z)の場合

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。またレンズを買いました。しかも結構高価な奴。というか今まで買ったレンズの中で一番高価かもしれない。中古でいい出物があったのでつい買ってしまいました。

 お、ついにEマウントレンズでも買ったか?と思われそうですが、決してそんなことはありません。別にアンチEマウントという訳でもありませんが、例によってAマウントです。

 自分がα200からAマウント機を持ち始めて、Aマウントレンズのカタログでは比較的トップのほうに居続けた、そして今でも神レンズと名高い、Sonnar T* 135mm F:1.8 ZAを買ってしまいました。以前紹介して、そして買ってから常に相棒であり続けているSAL2470Zと共に憧れのレンズだった訳です。

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 Vario-Sonnar 24-70/2.8 ZAは憧れと共に実用的なレンズだった訳ですが、さすがに135の単焦点、しかも大口径となるとなかなか使いどころが難しいレンズです。しかもこのレベルのレンズは使ったことがないという。果たしてこのレンズはどんな世界を見せてくれるのでしょうか?

目次

とにかく大きい、重い、ガラスの塊

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 大口径レンズということで、フィルター径は77mm。今でこそフィルター径が80mm台が結構あったりしますが、発売当時でフィルター径77mmというのは一番大きいレベル、そんな感じだったのではないでしょうか。

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 レンズフードを外すと結構コンパクトな見た目にはなります。見た目はね。ただ重量としては985g。コンパクトだけど重い、LA-EA5と併せると1kgは超えますからなかなか重量級のレンズであるということが言えます。α7Rが500g強ということを思えば、ボディに対して2倍の重量ということになります。

 全長が想像より小さいだけに、ガラスの塊がレンズになっているんだなあと体感することができます。

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 SAL2470Zと比べるとこんな感じ。フードをつけると圧倒的な存在感を放ちますね。フードがないとSAL2470Zのワイド端と同じくらいの長さ。なんというかミノルタ単焦点レンズ群、28mmや50mmと比べるとデカいけど、レンズとして大きすぎる、ということはないのかもしれないなあと思っている自分は重いレンズに毒され始めているのかもしれませんね。

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 側面にはカールツァイスのバッジとフォーカスホールドボタンが。ただこのレンズにはレンズ内モーターが搭載されていないので、LA-EA5と共にこのα7Rで使う場合には無用の長物なボタンとなります。SSMがあったらよかったのにと思う一方で、α7RのコントラストAFで使い物になるかは疑問だったりします。

135mmのF1.8は暴れ馬を乗りこなすよう

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:800, SS: 1/400, F:4

 神レンズと名高いSAL135F18Zでとりあえず神を撮ってみました。というのは冗談で135mmという焦点距離はなかなか使いこなすのは難しいぞ、と実感しています。この神の文字も、F:4まで絞っているにも関わらず、全体にピントが来ていません。

 50mmなどと比べて長いぶん被写界深度が浅いぞ、というのをどうしても実感せざるを得ないですね。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:320, SS: 1/320, F:1.8

 デスクにあった論文を1枚パチリ。F:1.8ともなるとピントが合っている面がかなり薄々なのが分かります。これほど薄いとなると撮影中に前後にブレたらそれだけでピントがずれることになります。これはなんと難しいレンズを買ってしまったんだと頭を抱えてしまうことになります。

 一方でボケのなだらかさがすごく美しいなあと、そう感じざるを得ませんね。いいレンズなのは間違いないけど、すごく難しい。手振れ補正のついたカメラが欲しい。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:1250, SS: 1/320, F:4

 F:4まで絞ってもこんな感じ。焦点距離が長いぶん被写界深度が浅いのがよく分かりますね。今まで使ってきたレンズとは一味違うぞ、というのを感じています。

 この論文の画像を見ていただくと分かる通り、長いわりに結構寄れるレンズだったりします。最短撮影距離は0.72m、最大撮影倍率は0.25倍とクォーターマクロとして使えます。135mmという焦点距離ながらオールマイティーに使えるという意味でも、このレンズが神レンズと呼ばれる一因なのでしょう。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:1250, SS: 1/200, F:1.8

 そういう意味でこういったフィギュアを撮るのにピッタリだったりもしますね。F1.8であっても、ボケは結構きれいだし解像感は強烈だしと、神レンズだと言われる所以がよくわかる気がします。

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 ピント面を95%表示にしたものを切り出すとこんな感じ。感度がちょっと高めということでちょっとディテールが潰れかかっていますが、なかなか強烈な解像感を覚えます。

 ただ手持ちだとシャッター速度を稼がないと結構きついかもなあというのは正直な感想。高解像度なレンズに高画素なカメラ(と言ってもα7RⅣと比べると半分の画素数だが)、しかも手振れ補正なしとなるとなかなか歩留まり的に厳しいものがあります。大口径で長めの焦点距離というのはやはり暴れ馬、という感じがします。

 単に技量がないだけとも言えますが。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:1250, SS: 1/250, F:1.8

 前ボケも結構きれいです。そういう意味で立体感を表現するには最高のレンズだと言うことができるでしょう。

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 目の印刷のドットまで見ることができますね。なかなか強烈。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:100, SS: 1/320, F:2

 このように寄ってボカせるという意味でも、ポートレート以外にも使い勝手が良いレンズ、という評判は納得ができますね。ただこのヒヨコはもう少し絞って撮ったほうがよかったかな。

実際にポートレートも撮ってみたいよね

 ポートレート以外にも使い道がある、とはいえ135mmはポートレートに好適なレンズだよね。ということでモデルさんの撮影をしてきました。モデルになっていただいたのはNanashiさん(Twitter, Instagram)。

 真面目にポートレートを撮ることが本当に初めてだったので、Nanashiさんには大変よくしていただきました。本当にありがとうございます。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:200, SS: 1/400, F:2.8 ※Capture Oneで現像

 これがこのレンズの真の力かあ、と感嘆せざるを得ないですね。ボケの綺麗さとピント面の解像がしっかり両立していて、すごく立体感のある写真に仕上がっています。もう少し構図を考えろよ、とか、もう少し絞ったら?というのはもちろんそう。もう少し修行しないとですね。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:125, SS: 1/400, F:2 ※Capture Oneで現像

 口径食は周辺に行くと結構盛大に出ますね。0.3段絞っただけだと割とレモン型になります。ただこれは絞ると解決、円形絞りなのでMINOLTA 50/1.4のように角ばった形にはならないので割といいかなと思ってしまう部分です(今時円形絞りじゃないレンズのほうが珍しい気もしますが)。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:250, SS: 1/400, F:2.8 ※Capture Oneで現像

 さらに1段絞って2.8にすると口径食のほとんどは気にならなくなりますね。本当に最周辺部ではまだレモン型になっていますが。そして焦点距離が長いぶん絞ってもボケ量が足りない!と思うことはなさそうです。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:160, SS: 1/200, F:2.8 ※Capture Oneで現像

 これだけ明るいレンズだと、背景の処理が結構楽ですね。大きくボカすことができる分、背景が雑多でもめちゃくちゃ気になるということはなさそうです。ああ、ポートレートレンズというのはそういうことか、というのを実感しますね。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:320, SS: 1/320, F:1.8 ※Capture Oneで現像

 ただ背景が一様だと、ちょっとグルグルボケ傾向が出るかなあというもの正直なところ。もう少し絞ったほうがボケがきれいに出るかな?と思うところです。これだけ明るいレンズなのだからと、絞り開放教の信者の如く開け気味で撮影していましたが、もっと絞るということを覚えるべきですね。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:160, SS: 1/400, F:1.8 ※JPG撮って出し

 ただ先ほどのような背景でなければかなり綺麗にボケてくれます。背景がなんなのか分からないくらい。大口径レンズの醍醐味ってここだよね。というのを味わわせてくれます。ただ若干前ピンだし、もう少し絞ったほうがいいよね。というツッコミはその通りです。

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α7R + LA-EA5 + SAL135F18Z ISO:250, SS: 1/400, F:2.8 ※JPG撮って出し

 一段弱絞るとやっぱいいなあ、と思いますね。その分背景がちょっと出てくるので構図はもっと考えようよとなりますが。ただ絞るとより解像がよくなりますし悩ましいところです。ちょっと右下あたりがフレアっぽくなってますね。これがレンズ起因なのかとりあえず付けている激安フィルター起因なのかは微妙なところ。

 このレンズをどう使いこなすかというのはやはり悩ましい、というより技量をもっと高めよ、という話になりますね。写真は機材だけで撮るものではないという言葉を身に染みて実感します。

いいレンズなのは間違いない。どう使いこなすか。

 ノリと勢いでこのレンズを買ってしまいましたが、どう使いこなすか、というのはなかなか難しいところです。もっと技量を身につけなければと思い至ったところです。

 135mmというと、羽田空港1タミから飛行機を撮るとき富士山と絡めるのにちょうどいい画角だったりしますから、そういう撮影にも使ってみたいなあと思うところです。

 その一方でこのレンズの味、ボケと解像を両立したような写真を撮るとしたら、どうアプローチすればいいんだろうというのは今後の課題ですね。自分の写真技量が高くないというのを改めて実感してしまいました。なんか良さげに写ってるけど、もっとよく写せるはずだ、もっと考えて写真を撮れとこのレンズに言われている気がします。