からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

Aマウントレンズで味わうα7Rの世界 ――SONY 85mm F2.8 SAM(SAL85F28)の場合

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。だいぶ投稿間隔を空けてしまいました。怠惰ですね。この一年というもの環境の変化が大きく、どちらかというと仕事に全力を振り向ける生活を送っていました。

 さて、今回α7Rと組み合わせて使っていくレンズはこちら。SONY 85mm F2.8 SAM(SAL85F28)というレンズ。

 かなりコンパクトな85mmレンズ。明るさも85mmのレンズとしては暗いF2.8。筐体の見た目から分かる通り、かなり低コストに作ることを目標としたレンズです。それもそのはずで、発売当時の希望小売価格は33,000円。レンズにしてはなんともお安いお値段です。

  見た目が安っぽいだとか、プラマウントだとか、あーだこーだ言ってはいけないレンズであることは確かでしょう。開発者にぶん殴られることは間違いなし。このレンズは「はじめてレンズ」として、レンズ交換式カメラを買ったはいいが、交換するレンズを持っていない、そういう層をターゲットとして開発、販売がされたレンズです。あれこれ文句を言うオタクは端から対象ではないのです。大人しくZeissバッジのついた85mmF1.4を買いましょう。

 側面にはAF/MF切り替えスイッチが一つ。距離表示もAマウントレンズあるあるな距離窓はなく、フォーカスリングに印刷がされているのみ。とことん割り切ったレンズであると言えます。

 そしてフォーカスリングを回すとにょきにょき伸びてくるタイプ。今の時代のこういったレンズを発売しようものなら袋叩きに遭いそうなものですが、とことん割り切りです。

 α7RにLA-EA5と共に装着するとこんな感じ。違和感はまったくないですね。大変コンパクトなレンズだと言えます。むしろLA-EA5を介してα7Rに装着するために生まれてきたのではないかとさえ思えます。もちろんAFも動作しますしね。

 SAMレンズということでレンズ内モーターが入っていますが、悩ましいのはこのフォーカスフィーリング。結構スカスカでなんだかなあと思ってしまうのは正直なところ。オールドレンズのグリスまみれネットリフォーカスである必要はないにせよ、ここまでスカスカだとMFで撮る気には……と思ってしまうのはよくないオタクでしょうか。もっともAF全盛期においてその必要があるかと言われるとないと断言できてしまうので、こういったところも割り切りです。

 ただこうして装着してみるとそういったことはあまり気にしなくてもいいんじゃね。知らんけど。と言いたくなるような収まりのよさです。さてこのレンズはどんな世界を見せてくれるのでしょうか。

目次

よく写るコンパクトなレンズ

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/1600, F:5.6, ISO:100

 まずはみなとみらいのロープウェイから。絞れば写る。そりゃ当たり前なんですが、ここまでいい感じに写ってくれるとにんまりとしたくなるところではあります。85mmというとポートレートに好適される焦点距離ですが、こうしたスナップを撮ってもいいのかと認識させられますね。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/2500, F:2.8, ISO:100

 開放で撮ってもピント面のシャープさは意外なほどしっかりしています。85mmのレンズの中でも破格なレンズではありますが、だからと言って写りが悪いとかそういったことは当然なく、「使える」レンズであることは間違いないでしょう。

 こうした背景におけるボケは結構素直にボケてくれていて、悪くないなという印象です。ただ結構背景は選ぶなというのはこの後お見せする写真で思うところです。

ボケ味には少々悩ましいところがある

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/250, F:2.8, ISO:100

 背景の均質性が損なわれると、ちょっとどうしようかなと考えるところではあります。このレンズを買ってから実は1年半以上経っている訳で、スナップにいいサイズだなと思いつつもそれほど持ち歩かなかったのには、ボケ味がそんなに好きになれないというのが大きな要素だったりします。

 ピント面の写りにはまったくもって文句の付け所はないのですが、例えばこれがF2.0だったらもう少し大きいボケが得られるのかなとか、そういうことをつい思ってしまうのです。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/320, F:4.0, ISO:100

 ただこうした都市背景のような、ある種背景に均質性のあるようなものがくると、これはこれでええやんというボケ方をしてくれます。

ポートレートで使ってみる

(左)α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/200, F:2.8, ISO:320

(右)α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/200, F:4.0, ISO:640

※Capture One 22現像

 ポートレートに好適な85mmということで、ポートレートにもトライしてみましょう。左右でF値が一段ぶん違います。今回もモデルさんはNanashiさん(@na_photojp
にお願いして撮影しました。
 というよりも、買ってすぐに撮影させてもらって、その結果しばらくこのレンズを塩漬けておいてしまったというのが正直なところでしょうか。

 この価格のレンズに文句を言うなと言われればそれまでですが、こういった背景になると少々ぐるぐるボケの傾向が出てくるのかなあと。ボケ味がスムースかと言われると、うーんと悩むところではあります。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/200, F:2.8, ISO:400

※Capture One 22現像

 背景のボケを考えなければ、シャープネスや色収差の有無などかなりよく出来ているレンズであることは間違いないと思います。価格を考えれば「贅沢を言うな」という領域である気はしますね。

 友人のことを撮影した写真などを見ていると、割といいじゃんと思えるような写真もあったりするので、要はポートレートに関してはシビアに背景を選んで使いましょうということでしょうか(Data Not shown)。

軽量スナップシューターとして使うのが一番いいのでは?

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/400, F:4.0, ISO:100

 ポートレートでは2回使ってみるにとどまり、スナップでも使ってあげることがあまりなく、結局活躍の場を与えてあげることなく、自分の手を離れることになりそうです。

 じゃあこのレンズがそんなによくないのかと言われると決してそんなことはなく、ボケを意識しないようなスナップシューターとして使ってあげるのが一番いいのではないかと思っています。そりゃあ20万円のレンズと3万円のレンズを比較して、ボケがあまり好みではないと中指を立ててたら、あらゆる方々から袋叩きに遭うべきでしょう。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/800, F:5.6, ISO:100

 逆に言えば、85mmの単焦点でここまで軽いレンズはそうそう存在しません。そんな中でズームレンズよりも明るいか同等、写りもよいか同等、それなのにこんなに軽いというレンズを持ち歩いてスナップを撮り歩く。そんな使い方がベストではないかという気がしています。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/200, F:4.0, ISO:100

 実際にこの記事を書くにあたって何度かスナップを撮りに歩いていますが、軽量で持ち歩きやすい、サイズ感もよいこのレンズはスナップのお供にぴったりでした。もっとも85mmの焦点距離で撮るスナップというのは少々難しいなと思ったのも正直なところではありますが。

α7R + LA-EA5 + SAL85F28 SS:1/200, F:2.8, ISO:160

 結局のところ、悪いレンズではないけど、not for meなレンズではあったかなという気はしています。いろいろあった結果として、自分はSAL85F14Zを買ってしまったのでした。その話はまた今度にでも。