こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。実は発売前から2週間ほどモニターキャンペーンとのことでSIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art を借りていたのでした。SNS等で画像をアップしてもよいとのことだったのですが、筆不精が発動し発売から1か月以上経つ今日この頃まで熟成されるという事態に至った訳です……。
という訳で今回紹介しようと思うレンズはEマウントの24mm、最近発売されたばかりのSIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art です。
SIGMAの24mmといえば、ContemporaryシリーズのコンパクトなF2が思い浮かぶところですが、このレンズは性能を突き詰めたというArtシリーズ。どんな世界を見せてくれるのでしょうか?
目次
広角、F1.4レンズなのにコンパクト
広角レンズ、それもF1.4の明るさをもつレンズといえばそれは相応な大きさを持つだろうと予想するのが一眼レフからカメラに触る人間の感覚です。ミラーレスカメラとなってからその恩恵を大きく受けたのが広角レンズだと言われています。フランジバックが短くなったことにより、かなり設計がしやすくなったのだとか。
自分が持つ広角大口径レンズといえば、AマウントのSONY Distagon T* 24mm F2 ZA SSMなのですが、LA-EA5と組み合わせて比較するとこんな感じに。全長は明らかに短く、重量はSONY Distagonが555g(LA-EA5と組み合わせて643g)、SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art が510gと、1段明るいにも関わらず軽量になっています。
ただしSONYがEマウント用に発売しているFE 24mm F1.4 GMのほうが445gとより軽量に仕上げていることから、重量を気にするならSONY製のほうがよいという説もあります。もっともお値段は1.5倍程度しますが。
当然のことながら、SIGMA 24mm Artはマウントギリギリまでレンズが詰まっていて(SONY Distagon 24mm F2も、Aマウント面ギリギリまでレンズが詰まっている)、ショートフランジバックの恩恵を受けた設計をしているのだろうということが容易に想像できます。
スイッチ類は機能的
側面にはAF/MF切り替えスイッチ、AF Lockボタン、MF Lockスイッチ、画像では見切れていますが、絞りリングのクリック感のオン・オフスイッチがあります。フードはボタンロック式で、ボタンを押しながら回転させないといけない方式になっています。力任せに回転させようとすると破壊すること間違いなし。
MF Lockスイッチは星などを撮影する際に無限遠にしたらその状態を保持できるようにするスイッチとのこと。万が一フォーカスリングに触れても問題ないよ、というものです。個人的には何かしら計測系の実験をするときにこのスイッチがあるといいかもしれないと思ったり。
このMF Lockスイッチ、借りたときにONになっていてそれに気づかず「あれ、フォーカスリング回してもピント位置が変わらんぞ???MFになってるよな???」と戸惑ったのは内緒。
反対側には絞りリング固定スイッチがあります。カメラ側で絞りを制御したい場合には絞りリングをAポジションに、このスイッチを固定側にしておくことでよいということになります。
全体的にスイッチ類は求められている機能が全部盛りになっている印象です。ただ一つ要望を出すとすれば、MF Lockスイッチの他に一発で無限遠を出すボタンが欲しかったなあと。最近のミラーレスレンズはバイワイヤーでフォーカシングをするせいかMFで無限遠を出すのが難しい気がするんですよね。もっとも、これを実現するとなると相当な機械的調整が求められるでしょうからコストパフォーマンス的に難しいのかもしれません。
どんなときも持ち出せる気軽なF1.4
このレンズを借りている間は、カメラにほぼずっとこの24mm DG DN | Art を装着していました。正直言うとこの一本で十分じゃない?という感想です。当然のことながら、24-70/2.8のような大三元ズームレンズのほうが汎用性は高いでしょうが、趣味で写真を撮るという行為において、単焦点の面白さ・24mmの使いやすい画角・F1.4の明るさというこの3つが揃ったレンズというのは自分自身の撮影スキルを高める存在であるともいえます。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/200 F:1.4
F1.4で中央部はなんの問題もなく解像していますね。というかかなり解像していて恐ろしいくらいです。カリっと解像させた写真を撮りたいならしっかり絞るんだよ、という常識を失わせてくれます。撮って出しなのでカメラ内の補正が働いていると思われますが、歪曲も気にしなくてよさそうな雰囲気です。
RAWデータの中央部を等倍切り出ししたもの。レンダリングした文字列を表示しているような解像感ですね。
F1.4でのボケ感はこんな感じ。接写しているというのもあって被写界深度はかなり浅いです。前後のボケはかなりなめらかかなという気がしますね。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/320 F:2.0
F2だとこんな感じに。当然ながら絞りは円形を保っています。F2のボケ味だと個人的には自分が持っているという欲目があるにせよ、SONY Distagon 24mm F2のほうが好きだなあというのが正直な感想です。恐らくSONY Distagon 24mmのほうが解像が低く、さらに諸収差が抑えきれていないというのが要因なのでしょう。なんだろう、SONY Distagon 24mm F2のふわっと感が好きなんですよね。
もちろんこのボケも悪い訳ではありません。単に好みの問題、とも言えます。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/500 F:5.6
24mmという画角は携帯のカメラより若干広いあるいは、同等の画角と言えます。ということもあってか、見たもの、撮りたいと思ったものをそのまま切り取ることができる気がするんですよね。スマートフォンのカメラに飼いならされているといえばそうですが。
そういう意味でも使い勝手のよいレンズと言うことができる気がするんですよね。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/8000 F:1.4
街角で落とし物と思われる帽子。もう少し絞ったほうがいいかな?と思いつつもF1.4で撮影。スマートフォンに近い画角で、コンピュテーショナルフォトグラフィーを必要とせず、自分が主題だと思ったものをシャープに、それ以外をボケさせてという撮影が楽しめるのもこのレンズのよいところでしょう。
コンビュテーショナルフォトグラフィーの是非はともかくとして、なんとなく撮ったスナップで自分の思い通りの撮影ができる、それがF1.4レンズの魅力であり、撮れたときの快感は代えがたいものです。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/800 F:2.8
もう少し右に寄ったほうがより対比感が出てよかったでしょうね。こうした街角スナップに気軽に使えるレンズであることは間違いないです。
夜に使いたいF1.4
こういった明るいレンズは夜に使わなければならない、という訳ではないにせよ、夜に使いたくなるものです。ゴーストバスターズと称する開発集団が徹底的にゴーストが出ないように設計したという話ですから、どういった描写を見せてくれるのか見てみましょう。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:1600 SS:1/200 F:1.4
ゴースト出そうだなあ、というシチュエーションですがゴーストは出ていないですね。こうした写真を撮るときにどこにピントを合わせようか悩ましいところですが、別に解像感もいらないし、ボケも悪くないしと割とラフに合わせています。
モノクロにしてみても面白いかもしれないと、ふと思い立ちモノクロで現像してみました。こちらのほうが味があるかなという気がしますがどうでしょうか。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:1600 SS:1/125 F:1.4
徹底的にレンズをイジメたらどうなるの?とゴーストが出そうな場面を試してみたらようやくゴーストが疑われるものが出てきました。ここまでやってやっと出てきた一枚です。
F1.4まで開けられるメリットはこうした写真でも出てきますね。夜スナップにいいですよね。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:5sec. F:2.8
シェアサイクルでサイクリングをしている画ですね。F2.8まで絞っていますが、背景の点光源の形が変になることもなくきれいに写っています。そしてピント面は相変わらずシャープ。これで星景写真を撮ったら面白いだろうなあと思うところです。残念ながら借りている期間にそういった機会がなく……。
24mmポートレートにも挑む
今回もNanashiさんにモデルをお願いして撮影しました。24mmレンズって使えば使うほど面白いなあと、ポートレートでも様々な切り取り方ができるなあと思う今日この頃です。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/400. F:2.0
(Capture One現像)
全身を入れてのポートレート。一段絞ってF2.0ですがこの距離感でも背景はしっかりボケてくれますね。場所の情報を程よく残しつつ人物を撮影するにはちょうどいいように思えてきます。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/500. F:2.0
(Capture One現像)
こちらもF2で撮影したもの。先ほどよりは寄って撮影させてもらっています。この距離感で解像感の良さがしっかり出ています。当然ながら寄って撮影することで背景ボケは同じ絞り値でも大きくなっていることが分かりますね。とはいえ背景の情報が消え去っている訳ではないので、単なるポートレートだけの写真にはならないのかなという気がしています。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/500. F:2.0
(Capture One現像)
こうした写真は24mmらしいポートレートと言えるかもしれないですね。こちらもF2で撮影。ちょっと被写界深度の浅さに恐れを抱いているのかもしれません。空間の余白の使い方、というのが24mmポートレートに挑む際の課題なのかなと思う今日この頃です。
α7R + SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art ISO:100 SS:1/160. F:1.4
(Capture One現像)
最後の1枚はF1.4で。F1.4でもピント面の解像がしっかりしています。それでいて背景は情報を損なわない程度にボケていて主題を強調してくれるというあたり、面白さを感じますね。恐らくスマートフォンのポートレートモードで撮影しちゃうと背景が結構ボケちゃう気がするので、そういう意味でもこの構成で撮れる写真という気がします。
広角単焦点が欲しいなら買いなレンズ
という訳で2週間ほど借りていろいろなシチュエーションでこのSIGMA 24mm DG DN | Art を使わせてもらいました。24mmはスマートフォンのカメラで飼いならされている画角ということもあり、かなり使いやすい画角です。
ミラーレスカメラを買うならこのレンズとフルサイズボディでもいいかもしれないと思うくらいフィットするレンズであったことは間違いないです。
じゃあ自分がお買い上げするか、と言われるとすごく悩ましいところです。AマウントのSONY Distagon T* 24mm F2 ZA SSMを置き換えたいかというと決してそういう訳ではなく、2本同時に維持できるだけの資金力があるかと言われるとそんなこともなく。
もし自分がSONY Distagon 24mm F2を持っていなければぜひとも買いましょう!となっていたことでしょう。それくらいには自信をもってオススメできるレンズかなと思っています。
価格的には11万円程度。広角域の単焦点を買いたいと思っている方々にはぜひとも勧めたい一本です。