からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

三重の廃工場へ年末の大掃除に行ってきた話

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。みなさんは年末の大掃除をしましたか?私はしていません。もちろんラボの大掃除には参加しましたが、自宅の大掃除はしていません。なぜなら掃除が苦手だから。

 そんな私が年末の大掃除として三重に行ってきました。それは単に友人に誘われたから面白そうだから行くかあ、という感じ。きっと廃工場の大掃除をすれば自宅もきれいになることでしょう。そんなことはないのに。

 という訳で話は年末の、羽田空港第1ターミナル、北ウイングのサクララウンジから始まります。

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目次

1日目

とりあえず飛行機で

 一般的な人間が東京→三重の移動を試みる場合、多くは新幹線と在来線を乗り継いで向かうことでしょう。しかし一般的な人間ではないので空路を選びます。そうですね。名古屋(中部)便を使うのですね。そう思った方は航空便に関する知識が結構ある方でしょう。しかしながら一味違います。

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 大阪(伊丹)便です。一度三重を飛び越えて大阪まで行ってしまいます。これには移動の策略がありました。名古屋(中部/セントレア)便は残念ながら経済減便で朝便は欠航。誘ってきた友人は仙台から訪れるということで、それなら大阪伊丹で合流すればいいんじゃね?そういう話です。

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 この日のJL103便はB787国内線仕様機での運行。なぜか去年JMBサファイアになっていたので優先搭乗で乗せてもらいます。後方窓側席なのでさっさと乗ったほうが得策でしょう。
 満席で運行との案内でしたが、隣に人は来ませんでした。クラスJにでもアップグレード成功したのかな?

 早朝便ということもあって座席に着くとおやすみモード。さっさと寝ることにします。

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 目が覚めたら大阪伊丹。飛行機の移動速度は爆速だなあと思う一方で、ドアtoドアの時間を考えたら新幹線なら今頃名古屋駅に着いている頃。飛行機をあまり過信してはいけませんね。

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 大阪伊丹空港は、関西国際空港、神戸空港と共に民間運営の空港になっています。どこかお洒落な雰囲気をまといつつ、一部ではまだパタパタ式の出発案内を使っているなど新旧が入り混じった空港の模様を楽しめる空港だったりします。

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 最後列ということもあり、しかも友人の乗った飛行機は後から到着ということでのんびり降機するとこんな乗継便の案内が。羽田から来た飛行機に羽田行きの乗継。サファイア修行かダイヤ修行の方でしょうか。年末にお疲れ様です(もちろんこの案内が使いまわしという説もある)。

結局新幹線使うんかいな

 友人は仙台からやってくるJL2200便。中部セントレアに降りるANA便よりも安く手配が出来たのでこちらを使ってもらうことに。朝9時に合流し、三重に向かいます。

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 リムジンバスで向かう先はなんば駅ではなく新大阪駅。ここでは新幹線を使って名古屋に向かって三重に行くことに。近鉄線を使ったほうが安い!来た道を帰るんかい?あらゆるツッコミをお待ちしています。私もそう思っています。

 大阪→三重の移動には1つの策略がありました。それはトヨタレンタカーの片道GOを使うこと。ダイレクトに廃工場に行ける上、そのまま東京に帰る足になります。これって最高じゃないですかね?

cp.toyota.jp

 そう思っていたのですが、そうは問屋が卸さない。直前まで粘ってみていたのですが、大阪→東京間の片道GOはこの日現れませんでした。一方で名古屋→東京間の片道GOはいくつか出てきました。三重県四日市に14時と約束をしている以上、近鉄で移動してコストを削減しても約束の時間に守れないのでは意味がない、そういう判断です。

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 途中雪が残るところを通り過ぎつつ、新幹線は飛行機の半分くらいの速度で名古屋に向かいます。年末の自由席と言えど、ラッシュとは逆向き。のんびり座りながら50分の移動です。

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 名古屋に着くとだいたい11時。ちょっと早い昼飯でも食うかあと味噌カツを食べることに。小さいころはなんかこの甘目の味噌味がちょっと苦手だったのですが、いまではうまいなと食えるように。元々お菓子のような甘いものは大好物でも、しょっぱいと脳が理解する食べ物が甘い、というのが少々苦手でした。それが今ではうまいと食えるのだから人間の味覚というのは不思議なものです。

 この前日自分も友人もそれぞれ別々にとんかつを食べていたということを思い出し、2日連続で揚げ物を食べてしまった……という年相応の罪悪感に苛まれます。

工場にたどり着く。なかなかやばいぞ。

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 名古屋でレンタカーを借り受け向かうは大掃除先の三重県四日市市。名古屋高速→東名阪と進みだいたい1時間ほどで到着。ちなみに片道GOで借りた車は1.0Lのヤリスでした。カムリとか、クラウンとかそういう車が出てくることもあるのですが、なかなかそんな甘い汁を吸う機会が訪れません。

 そして写真に写っている2人が今回の首謀者たち。彼らはWebメディアにも顔出ししているので、私と違って積極的に写ってもらうことにします。

 工事用の足場にネットが掛けられているあたりこれは解体かリフォーム寸前の姿なのだなと思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。

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 現状はおおよそこんな感じ。建物自体が結構朽ちている部分もあれば、その中もなかなかえげつない姿だったりします。

 もともとは漁網工場でオーダーメイドに様々な網を作っていたのだとか。そしてこの工場の主が亡くなり、工場には10tの網の在庫があるとのこと。もちろん在庫と言ってもこのままでは売れるようなものではなく、間違いなく新品未使用なんだけど、メルカリやヤフオクで「新品未使用」を掲げて売ろうもんならトラブル間違いなしの網が大量に残されています。

 この工場をどうにかしようと立ち上がったのが漁網少年のカイくん。今回の首謀者の一人です。

www.youtube.com

 この網や工場をビジネスにできないかと試行錯誤しているようです。物見遊山で訪れた自分にとっては、すげーという感じですが、彼は本気でもがき、どうにかしようと真剣に考えているようです。

とりあえず現状を把握しよう

 大掃除をするにあたって、まずは現状を把握する必要があります。

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 工場の建物に入るとこのようにモノが乱雑と置かれています。建物は大きく分けて4つのスペースからなり、そのうちの1つはこの場所になります。先ほど上げた場所はもう建物の一部を解体していて、あのまま足場などを外すと野晒しになるという危機的な状況になっています。

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 その一方で少し奥まで踏み込むと網の原料となる糸が整然と置かれています。ただ片付いているかと言われると微妙なあたりです。

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 さらに奥に踏み込むと2つ目のスペースに入ります。そうすると網が芸術的に広げられています。このスペースは実は以前漁網を使ったイルミネーションを展開した場所になります。実は1年ほど前にもこの工場を訪れていて、このイルミネーションの準備を手伝ったことがあります。

 その時ももう1人の首謀者であり、中学の頃からの悪友である友人に連れられてきたのですが、「イルミネーションの手伝いしてくれ」と言われて面白そうだからとやってきたのでした。さらに言えば、イルミネーション展示の手伝いをすることなく、コンクリートで床の穴を埋めていたことを思えば、ある種の詐欺なのではないかとすら思えてきますね(まあ、彼のことを24時間車で引きずり回したりといったことをしているので、お互い様ではあります)。

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 反対側に目を向けると在庫の網、原料の糸が保管されています。保管と言ってもただ置いてあるだけ。そういった佇まいです。

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 中央に目線を向けると大きな製網機と、あえて言うならばイルミネーションの残骸が存在します。また奥にも網の在庫が存在していて、さてどうしようかといった佇まいです。

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 さらに奥、3つ目のスペースに足を踏み入れると在庫の網が山積みです。これでトランポリンをしたら楽しそうですね。たぶん服は汚れて網でケガしそうではあるけど。こうした網をどうしようかというのも課題の1つではあります。まさかメルカリで「新品未使用」と銘打って売る訳にはいかないですからね。

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 そしてこの3つ目のエリアは絶望的なほど建物が崩れそうに見える場所でもあります。写真左側を見ていただくと分かると思いますが、梁が崩れかかっています。即座に建物がぺしゃんこになることはないとされていますが、少々不安な見た目であることは間違いありません。

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 反対側に目を向けるとやけに明るいエリアが見えてきます。ここが最初にお見せした、そして建物が解体されかかっているゾーンになります。日が差し込んでいるおかげで明るく見える訳ですね。

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 こちら側に足を踏み入れるとこんな感じに。上から見た様子と完全に一致しますね。こちらは雑然としていて、とても年末の大掃除で片付く量という感じではありません。

 ということでミステリに出てくるような間取り図っぽく書くとこの工場はこんな感じになっています。

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 間取り図下手だな。俺。

作戦を立ててる間に僕は写真を撮る

 首謀者たちがこの工場をどう活用するか、どのように変えていくのか相談している間に僕は写真を撮って回ることにします。廃工場で写真を撮る機会なんてものはほとんどないでしょうし、ここには製網機がまだ残されています。機械萌えするような人にとってはなかなか涎が出てきてたまらないようなものが数多く残されています。

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 差し込んだ光と何かの残骸の網。陰になった機械がいい味を出していますよね。まさに光と影。

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 イルミネーションの残骸の裏には大きな製網機。イルミネーションに使われた網は正直乱雑となっていますが、機械に残された網の編みかけは整然と整っています。どのように網が編まれていたのか、機械の奥側では網が広がっていることから手前から奥にかけて網が編まれていたのだろうと推測されます。動いているところをぜひとも目にしてみたいところですが、もう一度動く日はやってくるのでしょうか?

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 持ち込んだ照明を使ってライティングを試しながら遊んでみます。白色の網に暖色系、2700Kほどの照明はなかなか映えますね。ちなみに使った照明はこんなやつ。

 持ち運びできて便利だけど外で使う機会もないし、人を撮る機会もないしとマジモンの衝動買いで後悔してる品物。ただ今回活きたのでよかったですね。家で使おうにも大きいので使うたびに解体が必要という、一度買って使って楽しんだだけになっている品物の1つ。

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 SAL2470Zの被写界深度の浅さを楽しんだり。これはいいレンズだと相談が進んでいる間も一人楽しんでいます。

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 SAL2470Zはマジモンのいいレンズだからみんな使おう!

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 こういう謎のスイッチも、謎のまま面白いなあと思えますね。恐らく電気配線。一応この工場は電気を止めているとのことなので少なくとも電気火災が起こることはない。ブレーカーなのかなあ。

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 製網機がきちんと残っている一方で、こんな感じに「完全にぶっ壊れている」エリアも。以前来た時はこうなってなかったから、なにか手を加えたのか。僕にはちょっと分かりませんが、このままで「人を呼び込む」というのは安全管理上からもよくないであろうことが容易に想像できますね。

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 天井に目を向けると、ここが木造であることが分かります。恐らくこの工場に手が入らなくなってからしばらく経っていることでしょうが、しっかり建物を支えています。このエリアは雨漏りもありません。

 しかしイルミネーションの残骸がかなり目を引きますね。もしかして1年前からこのままだったのか???

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 別のエリアに目を向けると昇降機のスイッチらしきものが。上下のスイッチは分かるとしても東、西のスイッチも。どう動くのか全く想像できないですね。Z方向以外にも、X,Y方向に動作するマシンがあったのでしょうか?実際網は相当な重量ですから、こういった機械があったことは不思議ではありません。不思議なのはそのスイッチだけが残されて実際のマシンが見当たらなかったことでしょうか。

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 いや、写真を見返しているとなんか出てきました。このマシンか?

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 うーん、どう動いていたか想像はできないですね。そして壁がないのでスケルトンです。スケルトン工場。字面だけならなんだか工場見学が出来そうな工場ですが、実際には稼働もしてなければ開放できるだけの安全性もありません。

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 骸骨が3体。謎アイテムだ。これはさすがに工場稼働時にあったものではないでしょう。恐らく奥に見えるヘリウムガスも違うものでしょう。工場の人がヘリウムガスを吸いながら仕事をしていたら嫌すぎる。

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 逆にこの辺りのアイテムは工場稼働時からそのまま残されたアイテムでしょうか。一度イルミネーションを行っているだけあって新旧アイテムが入り混じっています。

1日目はとりあえずタイムアウト

 状況把握、作戦会議をしている間に外はもう真っ暗。14時に集合してそれからあれこれしていればそりゃそうよという時間ですね。電気の通ってない工場ですから、工場内も真っ暗です。

 持ってきた照明を使ってせっかくなので首謀者たちの写真を撮ろう。そんなことをしていました。

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 こちらは漁網少年カイくん。この工場の主だった人の孫。この工場をどうにかビジネスの拠点にしつつ、残された漁網をどうにか商品にできないだろうかと試行錯誤中。キーワードはアップサイクル?

 100日後に死ぬワニに倣って、100日後にクラウドファンディングを始めるらしい。どのような資金を、どのようなリターンをもって集めるのかその詳細は聞いていない。今は漁網を取り扱う会社に勤務していて、まさに漁網のプロフェッショナルになろうとしているところ。クラウドファンディングにあたって会社の副業規定に抵触しないかは僕には分からない。

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 そして首謀者2。中学からの悪友であり、今回三重に誘ってきた友人の畠山紳悟くん。彼は大学を何度も留年しつつ環境問題やら、海洋ゴミの問題に取り組んできた人。仙台を拠点に今もあれこれ活動中。こう見えても勤め人である。あんな破天荒な人間が勤め人だなんて!と思っているが、どうやら勤め先でも破天荒らしい。

 中学の頃は共にゲリラ壁新聞を作成して校内に張り付けたり、年を食ってからもいきなり24時間暇か?と呼び出し1000kmドライブしたりなどの引きずり回し、引きずり回されの関係である。

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 そして首謀者1、漁網少年カイ君の弟の陽有くん。建物の作り、構造に詳しく、実際に自分であれこれできるすごい人。工場に人を招くにあたって構造強度が怪しいところは彼が主体的に直してくれるのではないか?そんな感じである。

 もちろん彼も勤め人。というかこの時参加している人間で勤め人じゃないのは私だけなのでは?

 残念なことに私はWeb上に顔写真を公開していないので写真はなし。というかこの写真を全部自分が撮影しているので撮られる側に回らなかったというのも大きいですが。私はWeb上では匿名の怪しい人なのです。

 この辺りの写真はSAL70300Gで撮影しました。AFも動かなければ電気接点も死んでいるマジモンのジャンクレンズですが、写りはかなりいいですね。もう少し明るいレンズだったらと思うところですが、そうなるとさすがに資金的に買えないですね。Sonnar T* 135mm F1.8 ZA(SAL135F18Z)とか使ってみたいなあ。

www.phd-karaage.com

晩御飯はおいしいマグロ

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 ホームセンターで必要な機材を買い集めたのち、マグロ料理のお店に連れて行ってもらいました。お店の名前はそのまま「まぐろレストラン」。水産加工会社がやっているお店らしくどのメニューも大変美味しく、この他にもカマ焼きやら、マグロ丼を頂きました。まじでうまいぞ。

 そして作戦会議がまだ終わっていなかったようで、近くの喫茶店でさらなる作戦会議。僕は作戦会議を横耳に、自分の仕事を片付けていました。ただ唯一口を挟んだことと言えば、「1年後も大掃除するなら楽しいからまた来ると思うけど、工場をどうにかするための大掃除だとしたら、事業としてジリ貧じゃない?」ということですね。

 大掃除やこの工場の雰囲気は好きですが、イルミネーションの片づけが済んでいない時点で忙しかったのは仕方ないにしても、工場活用にあたってまだ一歩も歩みを進められていないのは現実的な問題として事実でしょう。

 作戦会議はどうにか終わったようで、この日は解散して自分と紳悟は名古屋へ。近隣で宿が取れなかったということもあって、東名阪と名古屋高速を使ってまた名古屋に戻ったのでした。

2日目

また写真を撮るところからスタート

 翌日は朝10時スタート。余裕をもって名古屋から移動。再び工場へ。昨日は暗くなって撮り切れなかった部分や工場に残された製網機にフォーカスを当てて撮影します。

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 なんかめでたそうな糸があります。これで新年の飾りとか作ったら面白そうですね。労力がすごそうだけど。

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 工場に残された製網機。糸が張られたままで残されています。というのも工場の主であるカイくんのおじいさんが倒れるその瞬間まで、この機械は働いていたようです。もちろんそのあと約10年は製網機としての仕事をしていない、置物になってしまっていた訳ですが。

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 なにを動かす大きなハンドルなのでしょうか?不用意に動かして機械全体になにか影響を与えると恐ろしいので、興味本位で回さないことにしておきます。

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 機械が働いていたときの姿を残していますから、どのように編まれていたのか、なんとなく雰囲気だけはつかむことができます。

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 編んだ回数のカウンターでしょうか。このカウンターが増えるところを少し見てみたいですね。

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 工場が稼働していた時のメモ。私にはこの暗号を読み解くことはできません。しかしながら網のサイズに関する暗号なのかな?と推測することはできます。

 そしてマシンにもその暗号らしきものが書かれています。

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 糸を巻いてあるリールの残骸でしょうか。そもそもリールという表現でいいんでしょうか。触ってみるとまだ糸が残っています。

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 ボールベアリングが目に入ります。中のボールもつぶれることなく丁寧にメンテナンスがされていたことが分かります。一方で中に入っていたであろうグリスは結構黒々としています。

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 製網機にイルミネーションの残骸が残っていました。せっかくなので電気をつけてみると、電気がついたので1枚写真を撮ってみることに。悪くはない雰囲気ですね。去年はイルミネーションを見ることなく、コンクリートで穴を埋めるだけで帰ってしまったので、なんとなくこんな雰囲気だったのかなと察することができます。

 電池が消耗していたらしく、この1枚で彼の寿命を迎えてしまいました。

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 恐らく電気で動いていたのだろうと推測できるスイッチ類。この手のスイッチってなんだか触ってみたくなりますよね。なお触っても恐らく機械は動作しません。なぜなら電気が来ていないから。

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 機械自体は埃が溜まったり、錆が出てきたりとこのまま人前に出すのは困難な状況ではあります。あらゆる博物館などにある展示された機械がかなり綺麗に磨かれていることを思うと、工場の売りとして機械を展示するならばかなり綺麗にする必要があることでしょう。

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 以前トヨタ博物館に行ったとき、どんなに古い車であってもピカピカに、今にでも乗り出せそうな、ちょっとこいつ新車で1台くれ、と言いたくなるようなそんな感じで展示されていたんですよね。

 なんとなくこの展示を思い出しました。

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 自転車のチェーンだったらちょっときれいにしたいなと思うチェーン類。とはいえしっかり動いていたのだろうと、油を切らさず働いていたことが分かる色合いです。チェーンなどの駆動系には一切錆が見当たりません。

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 この機械自体が四日市で造られたものらしいということが銘板を見ると分かります。重工業化する以前は漁網産業が盛んだったことから、こういった機械自体も四日市で造られていたのでしょう。

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 工場の何かのスイッチも網で大きくされています。我々が電灯のコードを伸ばすのと同じようなことが工場内でも行われていたようですね。

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 工場内は禁煙だったようです。時代を考えると職場でタバコを吸うというのは一般的だったようにも思えますが、これだけの糸や網といった可燃物を扱っていれば火気厳禁、禁煙というのは当然のことだったのでしょう。

掃除前にPR用の動画を撮る

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 ここでも持ってきた照明が大活躍。照明を焚きながら、Youtubeにアップされるであろう動画の撮影が始まりました。動画制作は全然素人なので分からないのですが、iPhoneでもYoutubeにアップするような動画って撮れるんですね。伊達に10万越えのスマートフォンじゃない。

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 こちらにもカメラを向けられたので、シャッターを切って応えておきました。このシーンが使われるかは知らない。

作業開始!!!

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 今回の大掃除では、このスペース②をどうにかしようということになったようで、作業開始です。公に広く使ってもらえるスペースと言えばここくらいだろう。そういう判断のようですね。

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 まずはイルミネーションの残骸である網を外し、さらにこのスペース②にある物品をすべて他のスペースに移動します。

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 もちろんこの完全にぶっ壊れたエリアもどうにかする訳です。

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 こうしてみるとなかなか絶望の様相を呈していますが、案外どうにかなるものです。この作業には、カイくん、陽有くんの妹さんにお父さん、さらに午後からは別の友人も参加してくれるなど、なかなか大がかりな作業になっています。ある種の家内制手工業の様相を呈しています。

 人海戦術でどうにかする、労働力はパワーだ。

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 やばい労働量だ、と皆が絶望しながらやっていた訳ではなく、むしろこんな感じで和気あいあいと作業が進んでいきます。自分も写真ばっか撮ってないで作業に加わり、このスペースにあった網をすべて別のスペースに動かしました。

 網って軽いように思うだろ?めちゃくちゃ重いんだぜ。人生における新たな発見です。

 あとこのように網を触っていると、様々な種類の網が存在することが分かります。そうめんのような網から、固めのスパゲッティのような網まで多様です。いわゆる魚種に応じてこのような網を作り分けられていたのでしょう。

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 そしてアフターはこんな感じ。まだ作業途中でしたが、自分は片道GOで東京に帰らなければならない身。高速の通行止めを危惧して、途中で退散させていただいたのでした。

 水をまきながら高圧ブロアで埃を落とし、さらに拭き掃除をしていく。大変な労働量だったのは言うまでもありませんが、このようにきれいになっていく様を見るのはなかなか気持ちいいものです。

ヤリスで帰る。

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 この日は四日市市で雪が降った日。当初の予定では夕飯をご馳走になってから東京に戻る予定でしたが、のんびりしていると高速道路が通行止め、あるいは近隣道路で交通マヒが起こりそうな予感がありました。

 そのため当初予定より早い時間に退散となった訳です。まだまだ作業があるのにと後ろ髪が引かれる思いでしたが、一足先に作業から離脱させてもらいました。今回誘ってきた首謀者の1人である紳悟は年明けまで四日市に残ったようでした。すごいですね。

 高速道路を使って四日市から東京までだいたい350km。新東名を使ったほうが距離が短いのは承知なのですが、あの直線が続いて交通量の多い感じがどうも苦手なんですよね。そういう訳で東名経由で東京まで帰還。

 途中、刈谷PA(ハイウェイオアシス)、牧之原SA、海老名SAと寄り道をしながらの帰宅でした。

 牧之原SAというと、「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のキャラクターを思い出しますね。彼、彼女たちのキャラクター名は高速道路のSAから取られているのは有名な話。

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 一時期こういうキャラクターグッズも展開されていました。アニメシリーズに出てきた主要登場人物の苗字のもととなったSAにはすべて訪れている、というのはちょっとした自慢でもあったりします。 

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 自宅近隣のコインパーキングに駐車して、翌日の返却を待ちます。借りてからの総合燃費は17.9kmでした。1.0Lヤリスにしてはちょっと悪いかな。というかレンタカーに使われるような最下位グレードだとレーダークルーズコントロールが付いていなかったのが結構しんどかったですね。あれがあると気楽に高速を流せるのに。

今までに経験したことのない大掃除

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 こうして残された網を、業者にお願いしてもらってきれいさっぱり捨ててもらう、工場自体もお金を掛けてさっさと解体してしまう。それは1つの解決策であり、一番楽な方法でもあります。

 しかしながら、網を編んでいたおじいさんの思いを継いでこれらをどうにかしていこう。それはカイくんの1つのストーリーであり、このカイくんの家族みんなのストーリーだったりします。今回の大掃除に参加して、この工場に改めて触れてそう思った訳です。

 外野があれこれ、さっさと処分したらいいんじゃない?とか、この網はあれこれ使えるよね。というのは非常に簡単です。しかし彼らがどのように考え、この網を利活用していくのか、工場を利活用していくのか。どういうストーリーが発展していくのか個人的には楽しみです。それはある種無責任な外野だから言えることなのですが。

 利用すらされなかった漁網たちが、どのように彼らの手によってアップサイクルされていくのか。単なる産業廃棄物としてお金を掛けて処分するのではなく、新たな価値を創造していくのか。朽ちかけ寸前の工場がどのように生まれ変わっていくのか。

 単なる大掃除ではなく、そうしたストーリーの一端を見れたことが非常にうれしく思い、そして今後に期待しているところです。