からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

Aマウントレンズで味わうα7Rの世界 ――MINOLTA AF 28/2.8の場合

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。親戚からレンズを強奪することで有名な人間です。いや、よくよく考えてみれば、Vario-Tessar T* 24-70/4を親戚価格で譲ったので、もはやお互い様でしょう、勝手にそう思っています。

 そんな話の詳しい経緯は、過去の記事で紹介していますので、今回は親戚から強奪したもう1本のレンズ、MINOLTA AF 28/2.8(旧)について書きましょう。

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 このレンズ、個人的には非常にいいレンズなんですよね。APS-Cで使った時に。そういう訳でAPS-C機であるα550を使用していた時に強奪したものなのですが、この換算42mmという画角が大変好きだったんですよね。35mmでも50mmでもないちょうどいい画角。今でこそ40mm単焦点なんかが発売されていて流行りの画角なんて言われていますけど。

 という訳で思い入れのある1本になっています。

目次

外観を見てみよう

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 うんうん、昔のMINOLTAレンズだよね、という見た目であることは50/1.4と大きく変わっていません。大きさも同じくらいです。強いて言うなら外玉の大きさが違うくらいでしょうか。

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 鏡筒サイズもほぼ同じ。50/1.4に比べるとちょっと大きいくらいでしょうか。最近のEマウントGレンズ3兄弟や、タムロンハーフマクロ3兄弟のように無理に鏡筒サイズを統一しようという意図は感じません。

 もっともカメラが求められる役割もだいぶ変わってきており、鏡筒サイズを統一することに一定のメリットがあるようですから、ここではその是非には触れないでおきましょう。そもそもどちらも持っていないし。

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 ちなみにこのレンズもAF 50/1.4(旧)と同様におまけのようなフードが鏡筒内に収納されています。

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 α7R初代に、LA-EA5を介して装着するとこんな感じ。比較的コンパクトなカメラに見える印象でしょうか。Eマウントのフルサイズ対応、28mm/F:2(SEL28F20)が長さ60mmに対して、こちらはLA-EA5にレンズを足して74.2mm(スペック上)となる訳ですから、実は1.5cmほどこちらのほうが大きい、ということになります。 

 じゃあAマウント機に装着するとどうなるか、これがパンケーキとは言わないまでも結構いい感じにコンパクトに収まるんですよね。α550ではどうなるか、それは下の写真をご覧ください。

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 かなり小さく、しっくりくるな。という印象を持ちます。やはりAマウントのために開発されたレンズであることには間違いないようです。その一方で、LA-EA5を介せば現代のEマウントにおいても当時と遜色なく(一部機種に限る)使えるというのは大きいように思います。その一部機種でなくても、Exifに焦点距離や絞り値を残せる、実際に絞りの制御を行えるというのは、間違いなくソニーに感謝すべき部分でしょう。

個人的ベスト作例 ―― 光と影を切り取るレンズ

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO3200, 1/60, F2.8

 AF 50/1.4と同様に、28/2.8についてもなんとなく夜に向いたレンズなんじゃないかなあと思っています。それは色味だったり、ボケ方だったり、そんなところから自分は思う訳です。

 このレンズを強奪された親戚曰く「ちょっと無理をしてでも28mmはF2のレンズを買っておけばよかったかなあ」と言っていました。それはこの2.8のレンズに不満がある、と同義な訳ですが、そうした不満は夜が解決してくれます。

 多少描写が甘かったとしても、ボケの出方が微妙だったとしても、とても強い光に対してフレア、ゴーストが出たとしても、夜なら「光と影」という言葉で誤魔化せる訳です。ごまかし、という表現はよくないかもしれないですね。それを生かした表現ができる訳です。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO1000, 1/60, F2.8

 ピント面はちょっと甘いかな、そう思ってしまいますね。それでもそんなことが気にならないかなあ。そう思えてしまう夜の写真。現代のレンズだったらもう少しカリカリに解像してくれるのかな、そんなことを思ってしまいますね。

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 ちなみに円形絞りではないので、絞ると玉は角ついてきます。

日中の作例はどうだろう?

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/640, F2.8

 ほぼ最短撮影距離で撮影したその辺の葉っぱです。なんというか2線ボケの傾向が強いですね。これをふんわりとした雰囲気と捉えるか、汚いボケと捉えるかは好みが分かれそうではあります。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/320, F4

 解像はほどほどという感じでしょうか。多少絞るとこんな感じだよね。想像通りの写真が仕上がります。現代的な写りかと言われると微妙なところです。カリカリを求める人にはちょっと不十分かもしれませんね。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/125, F4

 定番の横断禁止の看板。ピント位置を周辺に持ってくると解像はなかなか厳しいのかな、という印象になります。ほぼ等倍で拡大してみてみましょう。

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 95%表示のピント面の拡大です。一段絞ってもこの感じではあるので、等倍鑑賞を考えるともしかしてちょっと厳しい?という印象を抱きます。しかしながら等倍が必要になる場面というのはどの程度あるでしょうか?3000万画素の等倍を必要とするシーンを、アマチュア趣味カメラ野郎はあまり想像できません。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/500, F11

 逆光条件ではフレア、ゴーストが出ますが、絞ってあげればあまりに激しいものではなく、これはこれで写真の味、と言えるレベルではないでしょうか。極端なコントラストの低下というのはあまり感じられないように思います。よく見ればセンサーのゴミが写ってますね。残念です。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/400, F8

 ただもろ逆光、というようなシチュエーションだとコントラストの低下を感じますね。こればかりは仕方ないことでしょう。あまり現代のレンズとされるものを持っていないこともあり、どうしても比較対象が少ないのです。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/160, F8

 半月と木々を適当に写した写真です。コントラストという点ではこれくらいあれば十分ではないでしょうか。もしかしたらPLフィルターを使って空をもう少し落としてもいいかな、そんな風には思います。

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 中央下側の木々の解像はこの程度していますから、まあ許容範囲内ではあるのでしょう。これがα7RⅣのような6100万画素機になるとどうなのか、というのは評価できない部分ではあります。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO100, 1/800, F4

 日中の写真の中ではこれが一番好きでしょうか。構図は微妙なところですが、なんとなくローファイ写真っぽく写っているなあと思う訳です。現代的なカリカリ感、解像感、逆光耐性なんかを求める訳ではなく、こんなローファイ写真を撮るのに向いているのではないか、なんとなくそんなことを思ってしまう訳です。ただ、ローファイというにはよく写りすぎでしょうか。

APS-Cで撮影するとどうなのよ?

 APS-Cでの28mmが大好きだった人間ですから、フルサイズの28mmを与えられると、少々戸惑うわけです。結果として28mmの出番は少なくなっていました。APSセンサ搭載機で撮影した写真、なにかないかなと思い、古いフォルダを漁ってみました。

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α550 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO400, 1/200, F4

 そうそう、この画角なんだよねえ。と換算42mmの画角がやっぱいいんだよ。と思ってしまう訳です。絞っているのに加えAPS-Cセンサーということもありボケは控えめ。2線ボケがどうとか、この作例では気にならない訳です。

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α550 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO1600, 30sec, F5.6

 α550ということもあって、ISO1600では少々ノイズが気になりますが、それでもこんな感じの星景と地上の物体との合わせ技な写真を撮れる訳です。50mmだと長いけど、35mmじゃ短い、単焦点は足で稼げとはよく言いますが、その一方でこの画角、いいんだよなあとやはり思ってしまう訳です。

やはり夜に使っていきたいレンズ

 AF 50/1.4と同様に、夜に積極的に使っていきたいレンズかなあというのが本記事のまとめになります。

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α7R + LA-EA5 + MINOLTA AF 28/2.8 ISO200, 10sec, F8

 なんというか、Eマウントにおいて無理に入手したうえで積極的に使っていくべき、それくらいすばらしいレンズだ!という訳ではありません。しかしながら、小型で気軽に写真をフルサイズ機で撮りに行きたい、重い標準ズームなんか持ち歩きたくない、というような場合に選択肢となりうるのではないでしょうか。

 既にこのレンズを持っている場合、あるいはLA-EA5を持っている人が、中古で安い出玉を見つけた、そんな時に活用してあげたいレンズの1つではあります。

 オールドレンズ的に不便を楽しむレンズでもなければ、極端なゴースト、フレアを楽しむレンズでもない、ある意味で一番無難なレンズの1つではあります。これは1985年に発売されて以降、近年までソニーで現行だったレンズの1つである、ということが表しているのかもしれません。

 40mmという画角にフォーカスするなら、Gレンズ三兄弟、やっぱり買うべきなのかなあ。正直高くて手が出ないけど。