からあげ博士の日常と研究と

博士課程を満期退学した人が好きなことを好きなままに書くところ。

NEX-C3とINDUSTAR-69でお散歩してきた

 こんにちは。からあげ博士(@phd_karaage)です。先日の記事でINDUSTAR-69を手に入れて、NEX-C3で使えるようにしたというお話をしました。使えるようにするまでには大変な苦労がありましたが、早速これをもって写真を撮り歩いてきました。

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 見るからにコンパクトな構成のNEX-C3とINDUSTAR-69。ソビエト製のこのレンズは僕らにどんな写真を見せてくれるのでしょうか。

目次

INDUSTAR-69ってそもそもどんなレンズ?

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 INDUSTAR-69は、ソ連製ハーフカメラのチャイカに付属していたレンズです。マウント自体はL39マウント互換のものですが、フランジバックがL39マウントと比べて絶妙に短いという仕様です。

 L39マウント-Eマウントアダプターに取り付けてもこのサイズ感。ハーフカメラ用のレンズということで、イメージサークルを小さく作れるのでしょう。かなりコンパクトです。APS-Cカメラに使うと、ハーフ判のサイズ以上ではありますがギリギリイメージサークルをカバーしています。

やわらかい写りの絞り開放

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 秋葉原駅のヨドバシカメラを出たところで一枚。逆光のフレアと相まって、なかなかオールドレンズを使ってるなあという感覚にさせられます。期待していた写りでもあり、もう少しどうかいい写りをしたんじゃないかとも思ってしまいます。

 というかそれ以上に、APS-Cイメージセンサーでの28mmが久々すぎてどういう画角だったかなと思いだすのがなかなか難しいものです。

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 看板を撮ってみても、周辺3割はああ、流れ気味ねえ。という感じ。それでもディティールを損なわずしっかり写真として成立させているあたりに気合を感じてしまいます。

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 じゃあ全然ダメかというとそんなことはなく、絞るとちゃんと解像してくれます。5.6あたりがピークでしょうか。もっとも三脚も使わず適当なテストなのでこのテストを過度には信用しないでいただきたいところです。

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 周辺、と言っても最周辺ではないですが、この辺りも絞るとだいぶ改善されます。F8あたりまで絞るとまあまあいいんじゃないと言える範囲になるかと思います。

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 あえてF8の撮って出し、リサイズなしの画像を載せますが、こうしてみると左側が片ボケしていますね。マウントアダプターを削って無理に無限遠を出している代償、ということでしょうか。

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 ディスプレイのサイズで見ると、ブレてんのか???と一瞬思ってしまった次第です。少々ぐるっとボケているように見えて、中央部の玉ボケはしっかり出ている。そんなレンズです。最短撮影距離が80cmとそこまで寄れるレンズではないですが結構ボケが出ますね。

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 これもF5.6くらいまで絞ると結構いい感じに見える気がします。そもそも被写体や構図がどうなんだという話ではありますが。

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 クリスマス以降も存在するツリーの残骸をなんと表現したらいいんでしょう。開放で撮ると、よく言えば「幻想的」、悪く言えば「ボケボケ」に撮影できます。こういったものはある程度絞って撮ってあげるべきでしょう。

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 2段絞ってF5.6くらいで撮ると、それなりにシャープにはこういった被写体を捉えることができます。

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 こういった被写体は開放向きでしょう。とはいえふわふわしているなあという印象には変わりがないのですが。1段くらい絞ってもいいのかもしれませんね。

絞って撮ると結構いいぞ

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 逆光でフレアが出ていますが、ある種のオールドレンズテイストが出ていていいのではないでしょうか。この画像を見てもやっぱ片ボケしているなあというのは実感できる訳です。ただこれ以上の精度を追求できるかと言われると微妙なので、手を出さないでおくことにしましょう。

 ただちゃんと無限が出ていて、中心部はしっかり解像しています。F5.6くらいで撮るのであれば十分実用的ではないでしょうか。これで人なんかを主軸に撮ると面白そうだなあと思うところです。

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 秋葉原の裏通りをパチリ。普段この通りでカメラを構えるのは大変リスキーなのですが、この日は客引きのメイドさんの姿が見えなかったので1枚。彼女たちは大きいヘッドフォンをしていても容赦なく立ち塞がってくるので、ジャンク漁りをしたい気弱なオタクとしては困るのですが、彼女たちもまた仕事なので仕方ないのでしょう。

 太陽が隠れていても逆光方向にしっかりとフレアが出るのは面白いなと思うところです。

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 どこかのお正月飾り。散歩をしていてこういうのをふっと撮影できるのは、このコンパクトなシステムのおかげでしょう。ポケットに入れて、すっと取り出せるというのはそれだけで魅力的です。

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 湯島天神まで歩いたので初詣。湯島天神まで来ると急に人の姿が多くなるので、どこから現れたんだろうという気持ちになります。大きいカメラを取り出すのもなあと思うときに、こういったコンパクトなシステムは役に立ちます。

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 狛犬をパシャリと1枚。順光条件でしっかり絞って撮影してあげると結構シャープに写ってくれます。それでいて背景のボケはなんだかんだ出てくれるので、悪くないんじゃないかなと思う訳です。

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 ちなみに開放で撮るとこんな感じ。ピント面はふんわり。背景のボケは結構ぐるっとしている感じですね。

コンパクトなシステムを構成するにはいいレンズ

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 帰りの電車が空いていたので、思わず写真を撮ってしまう。ポケットにしまっておいてふと思い立ったら写真が撮れる。そういう意味でNEX-C3のいい相棒的なポジションに収まったな、そう思わせてくれるレンズです。

 一方でスマホで十分じゃないの?というご意見も多数あることでしょう。もちろん仰る通り。ただ、こういう写真ってカメラという機器がなければあえて撮ろうとは思わないと思うんですよね。

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 思い立った時にカメラという機器をすっと出して、撮る気にさせてくれる。それは重要な要素だと思います。MFや手動絞りのメカ感は写真心をくすぐるには十分です。ただ実用的な面でどうなの、と言われるとこのレンズだけでは心もとないのもまた事実です。機材を持ち出す余裕があるならα7RとSAL2470は持っていくし、NEX-C3の相棒としても、別のレンズを持っていくことでしょう。

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 オールドテイストに写真を撮りたい、軽いシステムでとりあえず写真を撮りたい、そんな要望には応えてくれるレンズでしょうし、苦労して無限遠を出した甲斐があったかなと思います。

 ちなみに湯島天神でおみくじを引いたのでその写真を撮ろうとしたら無理でした。最短80cmということで、どんなに離しても手に持って撮影するのは困難でした。そう考えると飯撮りには向かない、ということですね(人に撮ってもらうという手もあるのでしょうが……残念ながら一人で行ったので……)。

 当分はNEX-C3と共にメインのレンズとして使っていこうかなと思っています。